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6月9日~先手必勝④~

 言われたとおりに紫苑の中にある指を蠢かす彼は、粘膜の些細な震えを味わっているようだった。 「紫苑くんが気持ち良いところってどこ?」 「はっ、自分で…探してみろよ……ぁ、ん」  森岡はいつまでも相手を煽るような紫苑の態度に気を悪くするそぶりも見せなかった。それどころか、本当に紫苑の感じる場所を探って内壁をあちこち刺激してくる。  そして、後孔の腹側――前立腺のところを押し込まれた紫苑は、反射的に背中をびくんと仰け反らせた。 「あぁぁああ! や…っんぁあ、そ、そこ……だめぇっ」 「ここが良いんだ?」 「ふぁ…や、め……んぅううぅ」 「どうしたの? 探してみろって言ったのは紫苑くんだろう?」 「ご、ごめっ…ゃ、きもち、よすぎて……やっぱ…だめぇえ」  森岡の肩にしがみつきながら、身体を駆け抜ける電流のような快感に堪え忍ぶ。自分から挑発しておいてこんな姿を晒してしまうなんて、今更ながら恥ずかしく思えてしまう。  いや、自分が快感に弱いことは自分が一番知っている。それでも彼を煽ったのは、彼が紫苑にとってイレギュラーだったからだ。  どんなに誘っても乗ってこない。あまりに淡泊な彼を、どうにかして自分の手の内に陥れたかった。  そんな意地と好奇心が紫苑をここまで突き動かしたのだ。それなのに、事が進んでみればこんなに淫らに体内をまさぐってくるなんて。反則だ。 「指、増やしても平気?」 「ん、んっ…へーき……ぃぁあああ!」  蕩ける内壁の様子を見て、いけると思ったのだろう。森岡は一気に指を三本に増やすと、後孔の奥を突くように何度も何度も抉ってくる。 「ねえ紫苑くん、俺、男の人とは初めてって言ったよね。ちゃんとできてる……?」 「ァあ、んぁあ――でき、てる……っ、きもち、いいからぁ…」 「なら良かった」 「…もぅ……いい、だろ……指じゃ、足りねぇ……あッ、早く……はやく、いれて…ぁは、あぁああ!」  指だけでは物足りない。もっと奥まで満たしてくれるものが欲しい。  貪欲な紫苑の身体は、()()を求めて後孔をじくじくと疼かせていた。

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