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6月9日~先手必勝③~

「ごめん、どこもぶつけてないよね?」 「あ、あぁ」  森岡が謝ることは何もないのに、そう言われると何だか甘えたくなってしまう。 「あんたがいきなり舐めるからいけないんだ……それよりどうすんだよ、この状況」  紫苑のものも森岡のものも中途半端に勃ち上がり、もう後には退けないところまで来てしまった。紫苑にとっては願ったり叶ったりの状況だ。  彼もその気のようだし、最後までしても構わないだろう。 「えっと……紫苑くんは、どうしたい?」 「したいに決まってんだろ」 「でも俺、さっきも言ったけど男との経験なんて――」 「それなら俺が教えてやるよ」 「っ、……紫苑、くん……?」  困惑する森岡の右手を掴んで、その指を自らの口に含む。人差し指と中指、薬指を一気に咥えると、意外と節が太くて息苦しさを覚えた。  そんな彼の指に、溢れ出る粘度の高い唾液を丹念に塗り付ける。まるで口淫をするかのように。 「ん、む…んぅ……はっ」 「紫苑くん、すごくエロい顔してる」 「これでも、あんたより男との経験はずっと多いんだ……ん…ふぁっ」  自分がどんな顔をしているのかは自覚している。この顔で、幾度となく男たちを誘ってきたのだから。 「わっ、ちょ…んくっ……んっ、んっ…」  熱い吐息が零れる口を彼の指が出入りする。さっきまで消極的だったのに、性欲には抗えないということか。 「…や、ぁ……ぅう、んふ…ぅううぅ」  紫苑の性感帯のひとつである、上顎の歯の裏を撫でられてくぐもった声が浴室に響いた。背筋が震え、自身にますます熱が集まっていくのを止められない。 「あぁぅ――んっ! ぁ、はぁ…ふ……」 「大丈夫? 紫苑くん」 「なに…急に優しくなってんだよ……その指でどうするか、分かってんだろ?」  途中で止めるなんて許さない。  自らハーフパンツを脱ぎ捨てて、床に座る森岡の腰を跨いで膝立ちになる。そして彼をリードするように、その指を秘所へ宛がった。 「お、男同士って本当にここ使うんだ……」 「そう。でも、慣らさないとキツいから――まずは、人差し指入れて」 「こう……?」 「ぁあ、う……もっと、奥まできていいから……」  浅部に留まろうとする森岡に焦れた紫苑は、彼の手を掴むと、腰を下ろして指の根元まで呑み込んだ。 「ひぅッ、ん…そのまま、動かして……」 「すごい…紫苑くんの中、熱いよ」

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