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第65話

「あ……ごめん、結空。意地悪するつもりなんてなかったんだけど」 はっと透が我に返り、弾かれたように顔を上げた。 「ぅ……つらいんだ……とおる……助けてよ……」 透が執拗に弄っていた結空の乳首から手を離し、その手を結空の頬へそっと添える。 親指の先が優しく零れる涙を拭った。 「もしかしたら……結空と繋がれるのが最初で最後かもってどこかで思ってる自分がいるんだ……。そう思ったらちゃんと結空を隅々まで知りたくなって」 「最後じゃない……」 「本当?」 「ほんと……だからお願い、入れてよ透」 即物的に挿入のみを強請る行為がΩのせいだとわかっている。 曽根崎と交わった時もそうだった。 けれどその時と決定的に違うのは、持ち合わせていた感情だ。 曽根崎は怖くて抱かれるのが嫌だと思っている部分がどこかあって、けれどΩの血には抗えずに流されてしまった。だが透には嫌悪感が全くない。思い切り身を委ねてしまいたいとさえ思っている。それなのに欲しいものを与えてくれない。それが悲しみと苛立ちを募らせる。 「結空、俺もちゃんと薬飲んでるんだ。もし運命の番に出会った時に暴走しないように、抑制剤を。けど、どうしても結空の匂いを感じるとここが反応しちゃって……」 透が結空の手を掴み、熱くそそり立った性器に衣服越しに触れさせた。 「……っ、……とおる、これ……」 結空は自分が待ち侘びていたものに触れ、その硬さと質量にはぁっ…と感嘆の吐息を漏らす。 十分な太さと長さ、ずっしりとした量感が結空の胸を高鳴らせた。 「待ってね」 そう言って、透も荒くなった息を隠すことなく呼吸しながらボトムスに手をかける。 ぐっとデニムと下着が一緒に引き下ろされるところを、結空はうっとりとした眼差しで見詰めた。 下着に弾かれてぶるっと揺れながら雄々しく逞しい男根が姿を現す。 結空は自分の頼りないそれとは違う男らしい透の性器に釘付けとなった。 陰茎の根本がこぶしのように膨らんでいる。 曽根崎とした時はじっくり見たりすることはなかったが、間近で透のそれを見て、結空は息をのんだ。 「そんなに見られたら恥ずかしいよ、結空」 「だって……透、かっこいい……」 「結空……。あぁもう!どうしてこんなに可愛いんだろう!ごめん、我慢できない。俺も限界。……抑制剤飲んでる筈なのに、結空の前だとあまりよく効かないんだ」 透はそう言いながら頭を振って、結空の穿いていたデニムを乱暴に引き抜いた。 つんと上を向いた可愛らしい男性器と、どろっと体液を滴らせた尻が丸出しになって、濃厚なΩフェロモンが部屋に充満した。 結空の期待はマックスまで高まって、零れていた涙が、嬉し涙へと変わっていく。 「早く……早く、めちゃくちゃにしていいから……」 「結空、優しく出来なかったらごめん」 そこから先は透の手が性急になり、いきなり指を3本まとめて後孔へ突き入れられた。

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