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Ⅶ 『雨だれ』 -完-

この世界は歯車だった。 世界を生かすために、歯車にならざるを得なかった。 私もまた、世界の歯車の一部だった。 この心臓から聞こえる音は、カタカタ、カタカタ…… 歯車の廻る音だった。 けれども、私は……… お前に救われていたんだ。 これからも、共に生きよう。 譜面に描かれた記録(アクテ) 曲の中で、私はお前と共に生きる。 コンサートの幕が開いた。 とある年の夏 8月6日 ヒロシマ 被爆したピアノので、私はこの曲を弾く。 ショパン 『雨だれ』 声が私を呼んでいる……… ―完―

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