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interlude+

意識が朦朧とする中、蓮司は数日前に会った黎一との会話を思い出していた。 『オーナーいつにも増して最近忙しそうですね!』 『なんだ蓮司。俺に会えなくて寂しいのか』 『ちっ違いますよ!!そうじゃなくて、噂で、また新しい店を出すって聞いたので』 『あぁ、もう噂になってんのか。早いな』 『えっ、本当だったんですか!?』 『ホスクラじゃねえけどな。VIP色を強くした大人の隠れ家』 『…まさか…、その店に眞秀さん連れて行っちゃうとか言いませんよね?』 『ぁあ?連れていくに決まってんだろ』 『なんで決まっちゃってるんですかあぁぁぁぁっ!え、まさか大人の…って事は、眞秀さんをプレイヤーとして店に出すなんて事は…』 『そのフワフワした頭でも少し考えりゃわかるだろ。俺以外の他人に傅かせるような真似させると思ってんのか』 『ないですよねハイ。……って、ぇえ!?本当に連れてっちゃうんですか!?え!じゃあその店が始動したら俺もう会えなくなるんですか!?』 『そうかもな?』 『無理です!俺もそっちで働きたいっす!』 『無理』 『えぇ……、無理返しはひどい…。もうだめ…ショックで死ぬ…』 『自分の希望を通したけりゃ、そうできるだけの実力をつけてこい』 『…え?』 『貴祥やチカのレベルまで来れば、俺と同じ卓で話し合いが出来るようになる』 『!!! わかりました!俺、頑張ります!』 勢いだけじゃあの二人の位置まで上がるのは無理だってわかってる。 でも、眞秀さんとこれっきりになるなんて絶対イヤだ! その話を聞いて以来、寝ても覚めてもずっと対策を考えてる。 まだ見つからないけど、諦めるわけにはいかないんだ。 絶対…、追い付いて見せる! それからというもの、妙に頭が重くて体がだるい日が続いていた。 風邪かなぁ…。眞秀さんに移らないといいけど…。 まさかそれがいわゆる“知恵熱”だとは、結局倒れても気づかない蓮司であった。

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