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第11話

「やりすぎたか?」 「ううん……すごい、良かった」  滅多に甘い顔を見せない阿良々木も、終わったこのひと時だけは目元が緩む。高槻はそれを見るのが何よりも好きだった。 「時間いいのか?」 「えっと……うん。あと十分ある」  そうかと言ってもう一度髪を撫でた阿良々木と口づけを交わす。恋人とのキスは昼食を抜いたとしても力をくれる。 「ねえ、本当は白と黒、どっちが好き?」  身支度を整えながら高槻が聞く。高槻自身はどっちも似合うし、どっちも好きだ。だが、阿良々木に好みがあるならそちらを身に着けたい。 「どちらでも。おまえならどっちでもいい」 「先生……!」  もう一度抱きつこうとする高槻を阿良々木は押しのける。ベッドから立ち上がった阿良々木に先ほどまでの余韻はない。 「遅れるなよ」  立ち去りかけた阿良々木は一度取って返すと高槻の膝に小さな箱を放る。見慣れた栄養補助食品のパッケージに感動しているうちに、阿良々木は仮眠室を出て行った。                   了

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