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第4話
手際よく料理をする後ろ姿をぼんやり見詰めていた。
本当に綺麗な人…立ち振舞いも綺麗で使用人の姿が似合わない。
「いかがされましたか?璃人さま」
「あのさ…その“さま”ってやめてくれない?瑪瑙さん」
「…しかし…」
「いいって。気になるからやめて?」
「では…なんとお呼びすれば?」
「呼び捨て?」
「いや…流石にそれは…じゃあ…りとさんでどうですか?」
「その呼ばれ方初めて!なんか嬉しい!いいよ」
「では…りとさん。お食事出来ましたのでお召し上がりください」
「ねぇ…めのさん。」
「めの?」
「めのうさんでしょ?だからめのさん。敬語もやめよ?」
「…わかりま…わかった…」
「うん。めのさん。一緒に食べて?一人は寂しいから」
「そんな!俺なんか…」
「だーめ。ね?」
「はい…じゃあ…」
「うん。いただきます。…すげー美味しい!!めのさん料理人?」
「えぇ。先日まで古い料亭の厨房に」
「へぇ。だからこんなに本格的なんだ!すごい!家で食べてるなんて思えないくらい美味しい!ありがとう」
「そんな…大袈裟な…」
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