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第9話

数年後… 「親父。相談がある」 親父の会社に就職が決まっていた。 でも父の名を名乗る限り俺は社長の息子として見られやはり回りの評価はそれを通して見られるため実力は認めてもらえない。だから… 「俺は母さんの名前で仕事がしたい。」 「そう言うと思ってた。お前が好きなようにしなさい」 「今日からこちらへ配属になった成兼 璃人です。宜しくお願いします」 今日も茹だるような暑さだ…毎年夏になるとあの頃を思い出す。 あの夏の日めのさんに出会わなければ夏南を見る度苦しくて普通でいられなかったかもしれない。 恋愛が怖くて人を好きになることなんて無かったかもしれない。 でも…あの日あの時めのさんがいてくれたから… 前を向く勇気をくれたから… だから俺は歩き出せたよ。 次にあったら何を話そう。ちゃんとお礼が言いたいな まだ俺の恋は叶っていないけれどきっといつか…そんな日も来るかもしれないね。 めのさんはどんな恋をしてますか? あの夏の日々は何か与えられましたか? それとも俺だけが? 少しでも少しでも役に立てていたらいいのに… 夏が来る度あなたを…あなたと過ごした日々を思い出します。 あなたが幸せでありますように… 今日は外回りの仕事滴る汗を拭いながら歩く。 もうすぐ駅につく。 「りとさん」 風が運んできた声に振り返る。 ここからまた始まる… 完

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