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第0話

 自分にとって今の仕事が向いているかと思うと、それは決してYESではない。 ーーーあの先生ってさ、教士(キョウシ)とか言う名前のくせに全然教師向いてないよね。  そんな生徒達の会話を、何度も、何度も何度も耳にした事がある。 ーーー教士先生。君、ヤル気あるの? 生徒達に馬鹿にされて、授業だってちゃんと聞いて貰えてないじゃないか! ちゃんと指導しないと駄目だろッ!  廊下で教士を見つけるなり、そう怒鳴り散らす学年主任は、すれ違う度に教士の前に立ち、見てもないくせにそんな事を言って来る。 ーーーまーた、あの先生怒られてる。ウケる。  毎回毎回生徒達がいる前でわざと教士を叱るから、生徒達も教士を舐め、教師としてさえ見てはくれないのだった。  確かに、自分が至らない部分が多い事は分かっている。けれど、部活の成果が出ず、校長達に結果をせっつかれている事へのストレスの捌け口として相手にされては困ってしまう。  こんな時、何も言えなくなってしまう自分が恨めしい……。 「向いてないな……」  本当、なんで高校教師なんかしてるのやら……なる前から向いてない事は分かっていたはずなのに。  でも、生まれる前からこの仕事以外を選べなかったから仕方ない。  名前は教士。祖父母、両親、共に教師の元で生まれたからこそ付けられた名前だ。 「疲れた……」  本当、疲れた。  疲れた疲れた疲れた……。

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