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第4話

佐倉はその名前に似た花の様に儚い。 昔はもっとキラキラ笑っていたのに、歳をとって変わった。 変わったのは自分もだろうが、なんとなく、その成長がいやだと思ってしまう。 あの黄色い、太陽に似た花の様に笑っていられたのは…。 擦れ違う誰かの笑い声がそんな自分を嘲笑っている様にも思える。 「冬真は飲み物買わないの? 買うなら一緒に買うけど。」 「あ、買う。 何時もの…っ」 「ん。 だと思った。」 やわらかく微笑んだ佐倉の手には冬真が何時も飲んでいる炭酸水。 冬真は何時もの顔をつくると佐倉の隣に並んだ。 「さんきゅっ」 「高く付くからな」 「え、マジ?」 「マジ、マジ」 悪戯気に笑うその顔は小学正の頃から見ているものなのにおかしいよな。 「なにしてもらおっかなー。」 楽しそうな佐倉の声に冬真は表情を緩める。 「ん、なんでも良いよ。」 何かに捕らわれ、今を大切にしないなんて本末転倒だ。 解ってる。

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