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第3話

「佐倉、梅、はよ。」 「はよー。」 「おはよう。」 佐倉には、隣を歩く幼馴染みの他にもう1人幼馴染みがいる。 桃瀬耕平 佐倉とは保育園からの仲で冬真とも小学生の時からの気心知れた友人。 野球が大好きでこの季節には真っ黒になっている。 笑った時の顔が馬鹿みたいに明るくて、太陽みたいで、夏がよく似合う。 そんな耕平と佐倉は付き合っている。 そして、冬真はそれを知っている。 同性同士がどうだとか冬真が思わないのは、冬真も佐倉が好きだから。 だけど、耕平から取ろうだとかは思っていない。 佐倉が笑っていてくれるなら、自分には引き出せない笑顔でいてくれるなら、自分の隣じゃなくて良いと思う。 それに、耕平には勝てない。 どうやったって。 耕平は同じ大学にいないけど 恋敵だけど それでも佐倉にとっても冬真にとっても、かけがえのない大切な友達に代わりはない。 「梅は相変わらず過保護だな。 彼女にそれしてたらウザがられるだろ。 佐倉、よく毎日付き合ってるよな。」 「冬真が過保護なのは今にはじまった事じゃないし、小さい頃からの付き合いだからね。」 「俺、過保護じゃねぇだろ。」 「うわ、無自覚かよ。 タチわりぃー」 そうからかうと友人は手を振って講義室へと向かっていった。 冬真は眉を潜め、佐倉を見る。 「…タチ悪いか?」 「俺は冬真らしくて良いと思うよ。」 冬真の好きな笑顔で笑う佐倉に、安堵する。

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