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第7話

「サクラ、コーラ飲む?」 「うん。 頂戴。」 もぞもぞと這い出て耕平の隣に座るとコーラを受け取る。 汗をかいた冷たいコーラを喉に流し込むとしゅわしゅわと爽快で美味しい。 ぷはっと口を離したところで、テレビ画面に長い髪を乱した女が歪に笑っていた。 「ひっ!?」 「わぁぁぁっ!!」 びっくりする冬真と佐倉。 一際大きな冬真の声に和室の扉が開くと冬真の母親が顔を出した。 「冬真五月蝿い! ご近所さんにご迷惑でしょ! こわいなら観ない!」 「ご、ごめんなさい……」 テレビの中の女と同じ位こわい冬真の母さんの声に耕平も佐倉も肩を震わせた。 冬真の母さんは優しいけど怒るとこわい、だけどやっぱり優しいと思う。 だってすぐに笑顔に戻ると冬真の頭を撫でて出て行ったから。 「ちぇ、子供扱いすんなよな。」 「良いじゃん。 俺、冬真のお母さん好きだよ。」 「俺も。 冬真の母さんの作ったホットケーキ好きだし。」 「ホットケーキって誰が作っても同じだろ? 市販の粉だし。」 「違うんだよ。 冬真の家のはふわふわしてる。 俺の家はもっと薄い。 な、サクラ。」 そうだっけ?と佐倉が小首を傾げると耕平は力強く頷いた。 眠くなるまで騒がしくして、また怒られて。 暑さに目を覚ますと耕平が好きだと言ったホットケーキが朝ご飯にテーブルに並んでてみんなで腹一杯食べた。 腹が膨れたら耕平の好きな野球をして、ずっと笑っていた。

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