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第9話
隣で静かに寝息をたてるサクラ。
そっと輪郭を撫でると僅かに口角が上がった。
一体どんな夢をみているのだろう。
どうか、しあわせな夢であってくれ。
開けっ放しのカーテンから月光が降り注ぐ。
光を浴び淡く浮き上がる輪郭はサクラの儚さをよりいっそう引き立てていた。
「サクラ…好きだ」
ほのかに香る清潔なシャンプーのにおい。
ちゃんと腕の中に居るのに不安になる。
月が何処かに連れていってしまうのではないか、なんて童話の様な事ばかり頭に浮かんではへばり付く。
こわくて仕方がない。
「愛してる…」
それ程に愛している。
愛してる。
月から隠す様にしっかりと抱いて目を閉じた。
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