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第14話

俺の、俺だけのものにしたいだなんて言える訳がない。 そもそも、佐倉はものじゃない。 佐倉……耕平…… どちらも大切な友人だ。 ずっと隣にいた。 これからも、ずっと隣にいたい。 「と…、…ま……」 ずっと隣に、いたいだけだ。 「冬真っ」 「おわっ……ぃ、って」 「何してんだよ…。 だから声かけたのに」 小さな段差に躓いて膝を付いた冬真を心配そうに覗く佐倉。 その後ろには転んだ冬真を見て笑う学生。 ハッとしてすぐに立ち上がった。 「大丈夫?」 「おう。 ちょっと寝不足でボーッとしてた」 「レポートまだ終わんねぇの?」 「まぁな。 なんか考えが纏まんなくて」 数日が経ってレポートは大分形にってきた。 だけど、そうじゃない。 考えが纏まらないのは別の事を考えているからだ。 だけど、それをレポートが終わらない理由にはしたくないし、出来ない。 それとこれとは別問題だ。 単に自分がそれの区別を出来ていないだけ。 ぐるぐると頭の中で色んな事が渦巻いて気持ちが悪い。 「な、晩飯一緒に食わね? 飯は俺が作るからレポート手伝ってくれよ」 「それは良いけど」 「決まりな」 純粋に心配してくれる佐倉に嘘を吐くのは心苦しいが、佐倉は知らなくて良いんだ。 そう、知らなくて良い。

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