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第13話
「冬真、トマト…」
「あぁ、貰うな」
佐倉の皿からトマトをひょいと取ると口に運ぶ。
ミニトマトは食べられるのに大きなトマトはあまり好まない佐倉。
酸っぱいのが嫌らしい。
なんか分かる。
代わりにチキン南蛮を差し出すと1番端の小さな一切れを持ち上げた。
それに食い付くと口端にタルタルソールが付く。
ぺろりと舐めとる赤い舌。
目が離せない。
「冬真…?」
「え、ごめん。
なに?」
「ぼーっとしてるけど、体調良くない?」
「いや、大丈夫。
それよりレポートだよ。
来週迄に終わるか心配。
課題出し過ぎなんだよ」
白米を掻き込みながらなんて事ないフリをして話すが頭の中は邪な考えばかりが浮かぶ。
資料多いしそっち読む方が大変かもと苦く笑う佐倉は何も知らない。
知らなくて良い。
笑ってくれれば、それで良い。
それだけで。
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