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第1話
俺は生まれて直ぐの頃から小児科病棟にいた。
隣のベッドには同じ年回りの雪もいて、いつか病気を治して花火を見に行こうって約束をしてたんだ。
二人とも背が小さかったけど、雪は色素の薄い髪と瞳で、何て言えばいいのか…。
そう、儚げで天使のようだった。
夏祭りの夜に俺の心臓がいきなり止まって、先生のお陰で目が覚めたときには、もう雪はいなくなっていた。
体力がついて大がかりな手術を受けたあと、俺は漸く家族と一緒に暮らせるようになったけれど…。
時折、天使のような雪を思い出していた。
雪はどうしてるんだろう。また会えたらいいな、って…。
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