2 / 19
第2話
突然の大雨に、篠田真優(まひろ)は困り果てていた。
アルバイトを終えて帰る途中で、帰るに帰れなくなってしまったのだ。
市内の変電設備に雷が落ちて電車が止まり、次いで、信号機も駄目になり、主要な幹線道路が麻痺してしまった。
「どうやって帰ろう…」
近場の寺の山門で雨を凌いでいるが、濡れた衣服は少しずつ体温を奪っていく。
自転車だから、帰れなくはない。
だが、大雨と連発する雷で気持ちが動かない。
しかも、雷が少しずつ近づいてきている。
ズドン!ビリビリビリ…!
「ひっ!」
雷が近くに落ち、腹の底まで音が響いた。
「………っ」
幼い頃からどうにも雷が苦手な真優は、あまりの轟音に固まってしまっていた。
ともだちにシェアしよう!