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第3話

二人でいた頃は、いつも雪が耳を塞いでくれた。 「大丈夫、僕が一緒にいるよ」 怖くなくなるまで、ずっと…。 雪がいなくなってからは、なるべく雷鳴が聞こえにくい所にさりげなく逃げたりしていた。 自宅ならば、外の音を遮断してくれるイヤホンをつけて。 「うう…、なんでこんな時に限って忘れてきてんだよ、俺…。 バカじゃん…」 鞄の中もポケットの中にもイヤホンはない。 サブのイヤホンまで家に置いてきてしまっている。 もう一度鞄の中を漁ってみたが、あるのは筆記用具とテキストだけだ。 「どうしよう…」 ビカッ! ドドンッ!ビリビリビリ…! 「ひっ!」 先程よりも近くに落ちた。 へなへなと膝から崩れ落ち、山門の壁に寄りかかる。 ビカビカ! ドドドドド!ビリビリビリ…! 「ひああっ!」 滲むどころか、怖さでボロボロと涙が零れる。 無意識に雪の手を求めて壁にすがりついた。

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