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第16話

二人で熱を分け合っている間に、雨は少し小降りになっていた。 「……………はぁ…ぁ…」 「………っは、……ぅ…」 詰められていた呼吸が戻り、焼けるような熱が引いていく。 そのまま寝転がりたい位の気だるさと、下腹にある燠火。 甘い疼きを堪えて唇を重ねる。 「んふ…、ぅ…、ゆき…」 「大丈夫?」 「ん、…ぅ」 軽く触れ、啄む。 真優も啄み返して、雪の舌を招き入れて。 深い口づけが、下腹に残る疼きに火をつける。 「ね、…俺のこと、やらしいとか…思う?」 「思わないよ。むしろ、僕を呆れてないかが心配」 「呆れたりなんか、んっ…、ふ…」 熱が籠る花芯に、雪の熱源が重なる。 ぷっくりと滲む蜜がトロリと伝い落ち、それを雪が指に絡ませて幹へと纏わせていく。 「俺たち、…10年分、…んっ」 「そうだよ。これから取り戻して、それから…」 「もっと、好き、に…なる…」 「そう。もっともっと、好きになってくんだ…、っは、ぁ…」 ずっと抱えてきた想いが、漸く通じて。 抱けずにいた熱を、漸く覚えた。 乱れた服も先ほど迸らせた蜜も構わずに、肌を重ねる。 「好き…、好きだよ、雪、っ、雪ぃっ!」 「僕も愛してる…っ、ゆう、…っ、僕だけのゆうになって」 雨が作り出した帳の中で、全部さらけ出して愛し合う。 「なる、っ、なるぅ…っ、雪だけの、俺にして…っ」 「んっ、する、ゆうは僕だけの…っ、僕も、ゆうだけの…っ」 深い喪失感を抱えて生きて、漸く果たせた邂逅。 「俺の中にも、来て…」 「ああ…っ、あッ!もう、反則…!」 今夜はもう、止まれそうにない。 抱えてきた想いも、蜜も、二人が出し尽くすまで。 失われた時間を取り戻すのに一晩だけではとても足りないけれど、それは、これから二人で埋めていくのだから…。

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