79 / 144
《裏切りの傷痕》
どのくらい経っただろうか…
アキラはかなり熱い身体をしていて…
息遣いも荒い…
それでもさっきよりは良くなってきた…
「……」
アキラは、急にピクっと指を動かしたと思うと…
ゆっくりみずきを押し離す…
「アキラ?」
「……オレ、…シャワー、浴びてくる…」
まだカスれた声でポツリと言う。
「アキラ、その身体じゃ無理だ…もう少し良くなってから…」
みずきは当然心配するが…
「…キモチ悪いから…カラダ洗いたいし…酒、臭い…だろ…」
やはり頭を軽く振って、そう願う…
この穢れは洗っても拭いされるものじゃないけれど…
それでも洗わずにはいられない…
この吐き気がするほど汚れた身体を…
「……なら、俺が付き添うから、一緒にいこう…」
アキラのキモチを優先させ答えるみずき。
「……ウン、」
少し考えて頷くアキラ。
みずきの手をかりて立ち上がる。
「!…みずき、手…」
ふと目に入った、痛々しいみずきの手首を見て思わず言うアキラ…
「あ、あぁ…このくらいは平気だ…」
隠すように服の袖を下げるみずき。
よく見れば、みずきもボロボロだ…
自分のせいで…。
「手当…しないと…」
ポツリと零れる言葉…
「今はいい、後でいいから…アキラ…」
優しく言うみずきに…
「…ウン、ごめん…」
小さく謝るアキラ…
「……アキラが謝ることはない、自分でやったキズだから…アキラは悪くない」
毛布を羽織るアキラの肩に触れ、瞳をみて伝える。
「……」
アキラはその瞳を見返しただけだ…。
ともだちにシェアしよう!