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第80話

そう言っても… オレを助けるためについた傷… そう思ってしまう…。 アキラは風呂場の方へ向かおうと歩きだすが… ガクッと左足が砕けてしまい、みずきの支えでなんとか倒れこまずに済んだが、衝撃が伝わる… 「痛ッ…」 火傷のキズが痛み、眉間にシワが寄る。 「アキラっ!」 平衡感覚が保てないアキラ… 熱が何度なのか測るのが恐い… 犯されて、精神的にも辛いはずなのに… 泣き言ひとつも言わず、自分の内に秘めてしまう… そうやって… 今まで生きてきたアキラだから… 頼ることで自分が辛くなるような人だから…。 本当なら俺にすがって泣いたっていいのに… 自分のことを想うのが苦手で… 人のことばかり優先して… もっと自分を大切にしてほしい… もっと俺を頼ってほしいのに…。 心の内で思うみずきだが… 「大丈夫…、ッ…」 アキラは、もう一度…みずきにつかまり立とうとするが… 下半身に痛みが刺す… 「アキラ…ッ、」 そんなアキラを見ていられなくて… 横から、すっと抱き上げるみずき。 やはりズキッと左肩は痛むが… 無理をして、辛そうなアキラの姿を見ている方が辛いから… 「…みずき」 「大丈夫…行こう、」 笑顔を見せ、アキラに言う… 「…ウン、」 頷くアキラを連れ、脱衣所まできて下ろす。 アキラが被っている毛布を取り、代わりにバスタオルをかけてやる… アキラは背を向け… それを腰に巻いている… 微かに震えているアキラ… 「湯を浴びても大丈夫か?」 みずきも服を脱ぎつつ、心配になり聞く… 「…ウン、…平気…」 頷き、背中を向けたまま答えるアキラ…

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