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第81話
「……」
みずきは素早く服を脱ぎ、腰にタオルを巻いてアキラの肩に触れて言う。
「歩けるか…?」
「大丈夫…」
ぽつりと答えるアキラを支え、浴室へ…。
あまり広いとは言えない風呂場だが、二人くらいは居れる。
アキラを風呂のイスに座らせて、みずきは後ろから見るカタチでシャワーを出して温度を調節する…
「湯の熱さ、これくらいでどうだ?」
アキラの足元に少しかけ、そっと聞くみずき。
「いいよ…流して…」
「あぁ…流すよ」
アキラのコトバを聞いて、ゆっくり身体を流しはじめる。
白い肌…
首筋からのラインが色っぽく感じさせる…
「っ、ん…」
湯を浴びてアキラはピクンと身体を震わせる。
「大丈夫か?痛むか?」
高鳴るキモチを抑えつけ、気遣って優しく聞くみずき…
「ううん…ちがう…」
緩く首を振る。
「えっ?」
「…みずき」
振り返って…名前を呼ぶアキラ…
「…どうした?」
深緑の澄んだ瞳に見つめられ、ドキッとしながらも平静を装い聞き返す。
「……」
少しの沈黙のあと…
その綺麗な唇から零れた言葉は…
「オレを…イカセテ…」
頼むようなアキラの口調…
媚薬で狂った身体…
いまだ昇華しきれない思いが…
アキラを苦しめていた…
「えっ…」
その言葉にさらにドキッとして止まるみずき。
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