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第1話
今日から桜咲高校で非常勤講師として働く犬飼 凌は誰もいない家に行ってきます!と言って家を出た。やる気と活気に満ち溢れた表情は周りも明るくするくらいで近所のおじいちゃんもおばさまもニコニコと微笑み、挨拶する。
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ある先生の代わりに配属されたので、今は6月。3年2組の副担任としてこれから過ごすが、新学期から2ヶ月も経っている今、周りに溶け込めるか以外に不安もあった。
8時30分 朝のHRが始まる。
3年2組の担任であり、大学時代の先輩でもある仁科 広登(ニシナ ヒロト)に呼ばれ、教室へ入る。
「今日は、産休に入った世良先生の代わりの先生が来てくれてるぞー じゃ、犬飼 自己紹介して」
「はい。えと、世良先生の代わりに今日から3年2組の副担任として生活することになりました、犬飼 凌です。これから皆さんと楽しく過ごしていきたいと思います。よろしくお願いします。」
緊張しながらも自分らしく自己紹介をした。生徒達は早速りょうちゃん先生と呼び、歓迎してくれている。
「犬飼の科目は数学だから、数学の時間とか分からないことがあったらちゃんと聞くんだぞー。じゃあこれでホームルームは終わりだ」
ある生徒の号令でホームルームが終わる。ふと窓際の1番後ろの席が空いていることに気付く。
「仁科さん。あの、窓際の一番後ろって、」
仁科は少し困ったような顔をして答える。
「あ〜、あの席は神宮寺 綺良ってやつで、神宮寺財閥の三男。なかなか学校来なくてさ~。俺が家いってもなーって感じするし・・・。でも明日は小テストだから来るはずだよ」
「テストの日はちゃんと来るんですか??」
不思議に思い、仁科に問いかけると、仁科も不思議そうに、そうなんだよなぁ・・・しかもテストはちゃんと出来てるし・・・と苦笑しながら言った。
*
変わった生徒も居るもんだなぁと思いながらも、1日目は無事終了し、帰宅する。
2話に続く
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