1 / 2
1
どうしてこんな事になってしまったのか、今は自分でも分からない。ただ、これがあの時思った最短の方法だった。
——コイツに、近づくための。
「……は。ぁ…ちょっと待っ、て」
「……生殺しとか、シュミ悪ぃぞ」
「ぃ、あッ…!?んっ…ぁあ」
熱帯夜にも関わらず、扇風機すら付いていない室内で行為に及ぶ。互いに汗だくになりながら、求め合った。
ずっと好きだった相手に抱かれるのに慣れてしまったのは、何時頃からだったのだろう。
「……冴咲」
「……っ、なに」
「名前、呼べ……俺の、名前」
「あや、と……綾都。んっ」
愛なんてない。ただの性処理の対象——それだけで満足だったのに。ごっこ遊びに求めてはいけないものを、俺はコイツに求め始めている。
「……オレの名前も、呼んで?」
「……こうた」
こんな遊び、きっといつかは壊れるんだろうに。
——オレ、冴咲耕大(さえざきこうた)は、同い年の御上綾都(みかみあやと)と
セフレ関係にある。
ともだちにシェアしよう!