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第68話
「めのさん。ありがとう。忘れられそう」
「私も…忘れられそうです。りとさんのお陰だね」
「ねぇ。めのさん」
「ん?」
「…大好きです」
「私もです…。ねぇ…りとさん…」
「ん?なぁに?」
「…いえ…元気でね。またいつか…ね」
「うん」
そうして夏休み中過ごした場所を出て帰宅した。
笑顔でさよならをした
「ただいま」
「おかえりなさい。璃人」
「母さん。心配掛けてごめんね」
「表情よくなったね。瑪瑙くんにお礼言わないとね。彼ね、明日こちらを発つの」
「え?」
そんなの…聞いてない…何で…?
「フランス料理勉強したいんですって。向こうへ行ったら帰らないつもりって…璃人?」
何で教えてくれなかったの?もう会うこともないから?どうして?
「そうなんだぁ。知らなかった。もっとちゃんと話しておけば良かったなぁ」
少し寂しいけれどそれが彼の夢なら…
いつかまたどこかで出会えたらその時はきっと…
そう自分に言い聞かせるしかなくて…
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