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第112話
……
「今思えばあのときのさなえくんに似た被験者ってやっぱり夏南だったかも」
「あのとき?わかんないけど俺の担当はずっと木築くんだったよ。妊娠わかったときも一番喜んだの彼だった。最近も会いに来てくれるよ。出産の時も病院にきてくれてたし」
夏南と琢磨の子供は今はもう3ヶ月。元気な男の子だ
安定期を迎えゆっくり過ごして出産は時間は掛かりはしたけれど問題なく産まれてきてくれたと出産を終え自宅に戻ってきた夏南が幸せそうに話してくれた。
悪阻で苦しんでいたときが遠い昔のことのようだと思いながら夏南に抱かれる小さな命を見つめた
「あ。そうそう。これから来るお客さんて木築くんだよ?」
「え?」
「どうする?会ってく?気まずい?りーくんの恋敵だもんね」
「いやいや…流石にもうさなえくんのことはそういった感情では見てないから。今は絶賛募集中です」
「勿体ないよねぇ。こんなにいい男なのに」
「お前が言うなよ」
「璃人ー。夏南いじめんなよ」
「いじめてねぇし。逆だろ」
「飯出来たよ。一緒に食べよ」
「ありがとう。琢磨。でも俺は失礼しようかな。これから予約入ってて。また会いに来るね」
「んじゃ。持ってけ。詰めてやるから」
「琢磨。お前出来た主夫だな」
「夏南との磨南(まなみ)のためならなんだってするよ」
琢磨は嫁バカだし親バカだ。あの琢磨がそうなるなんて予想外だった。でも幸せそうで俺まで幸せを分けてもらった気分だ…
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