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第113話

夏南の家から外に出る。 この後の予約は数年ぶりに帰国する人でお世話になった人たちにプレゼントを渡したいとのことだった 予約を確認してふっと顔をあげる 「璃人さん?」 「茜くん。さなえくん」 「お久しぶりです」 会えたらなとは思っていたがまさか本当に会えるとは… 二人の醸し出す雰囲気は柔らかくうまくいってることを理解した。 「仲良くやってるみたいだね」 「お陰さまで。こんなところでどうしたんです?」 「高校時代の友人に会いに来たんだよ」 「そうなんですね」 「夏南のことよろしくね」 「え?国光さんがご友人ですか?」 「そうだよ。琢磨は幼馴染み」 「そうだったんですね。実はあのとき話してたの夏南さんのことだったんです」 さなえくんが勘違いした発端の相手…やっぱりね… 「わかる気もするよ。無自覚だもんね…夏南も。高校時代も結構苦労させられた」 「さなえがそうなんで困ってます。もう少し自覚してくれればいいんだけど…まぁ…俺が守ってやるしかないですね」 俺たちの話の意図が見えないのかさなえくんはきょとんとこちらを伺っていた 「ならまたね。俺今からお客さん入ってるから」 二人に背を向け歩き出す。もうあの二人は大丈夫だな… って…これ…またやってるし…芙蓉さんと美空くんのときも 苦笑して一度振り替えると仲睦まじく肩を寄せ合い微笑んでいる二人が目に入った その姿に安堵して歩みを進めた。 「りとさん」 え?…ふと前から声がかかる…俺をそう呼ぶのはあの人しかいない… 「めの…さん…」

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