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第114話

「お久しぶりです。りとさん」 「いつ帰国したの?」 「先ほどです。これから約束があるのでまた」 「あ。、うん。またね」 あれから数年たったのにめのさんはあの頃と変わらなくて相変わらず美人だし物腰柔らかいし…ただ前より何か色っぽくなった気がする… 恋人…出来たのかな?… チクリ… は…? 思ってもみなかった胸の痛みに自分が驚く 「え…と…え?」 まさかとは思うけど…俺はまためのさんに恋した? 待て待て待て…また難しい恋を始めようとしてる?いい加減もっと楽な道を選べばいいのに… 一先ず仕事仕事… 自宅に戻るとまだ約束の時間には随分早いのに人影があった 「すいません!出掛けてて…え?」 「おかえりなさい。りとさん。今日はよろしくお願いしますね」 「え?お客さんって…めのさん?」 「えぇ。予約のとき名前入れてましたよ?」 「は?え?え?」 確かに…確認したら予約氏名は M.Takato まさか、めのさんなんて思わなかった 「驚きました?」 「うん。びっくり。お母様はお元気ですか?」 「はい。母は相変わらずあのお屋敷の手入れを、楽しそうにやってます」 「そう。腰無理しないといいけどね」 「えぇ。それを案じて今は父も手伝ってるようです」 「そっかぁ。開けるね」 鍵を開け中に通す。 「時間早いけど始めます?」 「りとさんお食事召し上がりました?」 「まだだよ」 「よろしければお作りさせてください。一緒に食べたいです」 「え?いいの?やったぁ!!めのさんのご飯美味しいから食べたい!今ある材料で平気そう?」 「えぇ。十分です。ふふっ…」 「何?」 「いえ…りとさん可愛いなって」 「え?」 「見た目はあの頃以上に美しくなったけど今の表情が変わってなくて安心しました。大好きです」 「うぅ…子供っぽいってこと?」 「ふふ…そんな姿を見られるなんて俺は幸せですね。きっと回りにはいいお兄さんなのでしょ?無理してない?頑張りすぎてない?」 めのさんは近付くと俺を撫でてくれた。目線はほぼ同じだけどなんだかこうされるのは慣れてなくて照れ臭い 「あ。やっぱり無理してきたんですね!もう!だめです。我が儘も時には言わなくちゃ。俺でよければいつでも聞きますからね!」 「ありがと…」 チュッ… へ?…めのさん…今… 「あ…すいません…つい…我慢できなかった…可愛いんですもん。りとさん」 「えと…あの…あれ?」 「うわぁ!嫌でした?泣いてる!」 「ごめ…違くて…えと…え…ごめん…恋人が出来たんじゃ…」 「いえ。出来てませんよ。あのときから一度も…ただ好きな人ができて…恋しちゃダメな相手だったけど忘れられなくて…こうして…すぐに会いに来てしまいました」 「え?…俺?」 「えぇ。気持ち悪いでしょ?こんなにいきなりやってきて…」

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