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第115話
気持ち悪くなんてない。ただあまりにも驚きすぎて言葉がでないのだ
あの夏の日々…俺の中を埋め尽くしたのはめのさんだった。
でもめのさんはそんな素振りなんて見せたことはなくて…
めのさんからしてみたら子供の俺。そんな対称になるわけないって端から諦めてた…
「りとさん…俺ね…正直言うとね。一緒に過ごしてるときはりとさんはまだまだ子供だし失恋の痛みで誰でもいいから縋りたかっただけなんだから一夏の思い出にしようって思ってた。俺も丁度振られたばっかりだったし…利用してやろうって。若い子と交わることで忘れられるって…激しく求められれば考えなくて済むって…利用したんだよね」
「めのさん…」
「向こうに行って仕事をはじめて始めはすごく大変で嫌なことも沢山あって…そんなとき必ず思い出したのが不思議とりとさんのことだった。りとさんはどうしているだろう?失恋の傷は癒えたかな?新しい恋人は出来たかな?りとさんとのあの夏。とても幸せだったなって…そんなことが毎日浮かんでくる度にりとさんに会いたくて…話がしたくて…りとさんへの想いが募っていって…気付いたんだよね。一夏の思い出に出来なかったのは俺の方であのときからりとさんに捕らわれてたんだなって…自覚してからはどこか気持ちもスッキリして色々とうまく行くようになって…目標よりも早く色々手に入れた。本当は2度と帰国しないつもりだったのに…数ヵ月に一度、母やりとさんのお母様から聞くりとさんの話を聞く度ドキドキして…俺のいない間恋が出来たことも知って今更俺が帰国して会いに行ったところでうまく行くはずはないってわかってたのにもう我慢できなかった。会いたくて堪らなくて…うまくいかなくてもちゃんと失恋できたらまた次に進めるってそう思ったら帰りのチケット取っててりとさんのお母様に聞いてたここに予約入れて…こうして会いに来てしまった…」
あの夏のめのさんはこんなにも語ったことがあった?
いや…ない…ただただ俺に俺の欲しい言葉だけを掛けてくれてた…自分の事なんてそんなに沢山話してくれる人じゃなかった…
俺…こんなにも思われてたの?そんなの…嬉しいに決まってる…消したはずの恋の炎は沸々と沸き上がりそしてあっという間に燃え上がった…
「りとさん…好きです…俺を選んでくれませんか?」
めのさん…めのさん…大好き…俺でいい?俺はあなたを選んでいい?
「俺は…」
言葉より先に体が動いてめのさんの唇を奪っていた。そのまま久しぶりのめのさんを堪能するように深く深く…
「りと…さん…」
「めのさん…俺でいい?」
「はい。りとさんがいいです」
「俺前と比べて結構嫉妬深いかもよ?」
「挑むところです」
「俺昔ほど元気ないよ?」
「それはお互い様でしょ?」
「俺…俺…」
「りとさん…ねぇ…何が怖いの?」
「…久しぶりに想いが叶いそうだから…怖い…俺…だって…」
「りとさん。俺ね凄くわがままなんです。嫌なことはイヤだっていっちゃうし他の人に優しくしないでっていっちゃいたいくらい嫉妬深いです。りとさんを不安にさせることはしない。約束します。不測の事態が起きた時は直ぐに報告します。不安になったら直ぐに言って?あなたは全部隠しちゃうから。そんなのしなくていい。なんだかんだ言っても俺の方が年上ですしあなたはしっかりしなくったっていい。甘えてくれていい。りとさんの素のままでいてくれていい。頑張らなくていい。ただ俺の側にいて…ねぇ…俺を選んでくれませんか?」
「ありがとう…ありがと…めのさん…
俺…後悔してた。あの夏の日俺はすっかりめのさんに捕らわれてしまってて…でも諦めてたから…
新しく好きな人ができたりしたのもめのさんとのあの夏があったからで今の俺になれたのもめのさんのお陰で…俺の中では…あなたはずっとずっと特別な存在で…もう二度と会えないって思ってたから…こうして好きなんて言ってもらえるなんて思ってなくて…もう…自分でも何いってるかわかんないけど…」
そう言うとふわりと笑っためのさんが抱き締めてくれた。
「りとさんは肝心なことはうまく言えない人なのですね。」
「え?」
「そんなとこもとても可愛いです。完璧なりとさんなんていりません。りとさんはりとさんで隣で笑っててください。大好きです。」
「俺も…大好き」
「ふふ…聞きたいことが聞けた…」
「好きです…大好きです!」
「ご飯にします?それとも…」
「…抱きたいです」
「俺もそうしたかったから…今日は俺以外は予約入ってない?」
「1日一組限定にしてるから…入ってない」
「りとさん…」
「今日は泊まってって…ずっと側にいて?」
どちらともなく口づけてそして影が重なる…
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