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第128話

自宅に戻り一先ずお茶をいれる。 しばらく時間がたち口を開いたのはめのさん。 「この間の…ごめん!俺が気を抜いちゃたてたから…」 あのときのキスの経緯を確認。 なぁんだ…俺の早とちり… 「あははっ…!こっちこそごめんね。変な感じになっちゃって」 「さっき国光さんとこでも言ったけど俺はりとさんを愛し続けると誓います。俺はりとさんが何よりも必要でりとさんにも俺を必要とされたい。愛してるんだ…他の誰かになんて渡したくない…俺だけのりとさんでいて。俺はもうりとさんだけのものなんだよ」 「…それ…プロポーズみたいだね」 「へ?え?あ…嫌?」 「嫌じゃない。ありがとう…俺もごめんね…ちゃんと話も聞かないで連絡無視しちゃって…心配かけてごめんね」 「帰ってきてくれたからもう大丈夫だよ。よかった…ねぇ。りとさん。りとさんは凄い」 「何が?」 「国光さんから聞いたよ。あのときの恋人…夏南さんを奪ったの国光さんだって」 「そう。うん。そうだよ。でもね、琢磨でよかったって思ってる。今はね本当に二人は俺にとって理想の夫夫なんだよね。ああいう風にめのさんとなれたらなって」 「苦しくなかった?」 「ん~多少はね。でもねあの夏の日めのさんと過ごしたから夏休み明けに会えたときは普通に話せたんだよ。まぁ。二人が気を使ってか俺が無意識だったのか前ほど一緒に行動はしなくなった時期もあったし高校卒業したらなかなか連絡も取らなかったけど。でもさそれってさ二人に会うのが苦しいからだけじゃなくて本当に忙しくなったからなんだよね。進学とか将来のこととか考えることはたくさんあったし余裕なかった。でも溜まるものは溜まるから外で発散させてた。あのときは荒れてたってみんな言うけど…俺にとっては大切な時間だったのかもしれない。でないと人を好きになることを諦めてたから。荒れた生活だったから好きな人を見つけたし自分の愚かさにも気付けたし…それにもう一度めのさんを好きになれたし。全部が全部今のために必要だったんじゃないかなって今は考えてる」 あのとき夏南が琢磨を選ばなかったら? あのとき荒れた性活おくってなかったら?… …毎年夏にはめのさんのこと思い出してなければ… うん。きっと俺は俺じゃなかった。そう考えると若干恐ろしくもある。 あのときの美空くんやさなえくんへの恋が実らなかったことだって多分こうしてめのさんと一緒にいるためだったって思う。 「めのさん。俺を選んでくれてありがとう。これからもよろしくね」 「はい」 「ねぇ。めのさん。もう一度あの別荘に行こうか?俺たちの始まりの場所へ。あの夏の欠片を集めにいこうか?」 「そうだね。それもいいかもしれない」 「楽しみだね。色々計画しようね」 「うん、一緒に並んで歩こうね」 夏の欠片~ありがとう…完

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