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「・・・・紗波さ、ん・・・んふ・・ん」
幼気な少年の顔とは打って変わって、妖艶で艶めいた表情の男が紗波の股ぐらにあるものを口に含んでいる。
滑る舌と唇で口淫されるのは視覚的にも触覚的にも気持ちがいいのだが、まるで人が変わったかのような乙矢の乱れぶりに興奮しつつも戸惑いが隠せない。
「まて、乙矢・・・」
何とか引き剥がそうとするが、その度に音を立ててしゃぶられ吸いつかれた。
「・・・っく」
思わず息を詰めて眉根をきつく寄せる。
紗波の切羽詰まった表情に気を良くしたのか乙矢はますます卑猥な音をたてながら紗波を追い詰めていく。
「やめ…っ…乙矢……っく」
敏感な部分を一際強く吸い上げられ、たまらずその口の中に欲望を吐き出した。
荒い息を吐きながら、吐精後の気怠さに脱力しているとその胴に乙矢が股がってきた。
唇を舐めながら、恍惚とした表情で紗波を見下ろすと襦袢の裾を広げ下肢を晒す。
白く浮かび上がる裸体は美しく、またゾッとするほど妖艶な色香を漂わせていた。
「紗波さん、僕が欲しいでしょう?」
乙矢はうっそりと笑うと腰を揺らし下腹部を擦り付ける。
その眼はまるで男を食らう妖女のような眼だった。
その眼に見つめられると、得体の知れない何かに身体の自由を奪われていくような気がした。
例えるならそう、鎖━━━━
下から這い上がる鎖のようなものが紗波を逃がさまいときつく絡みつく。
「乙矢…お前、何なんだ…」
紗波の額にじっとりと汗が滲む。
初めてこの少年を怖いと思った。
「紗波さんが一緒に住みたいって言ってくれてね、僕嬉しかったんです・・・でもね僕・・・これが・・・これがないと生きていけないんです」
乙矢はそう言うと、うっとりとしながら紗波の股間のものを指でなぞる。
「しかも、一つじゃ足りないんです。ここ、この奥が疼いて切なくて・・・もっと擦って抉っていっぱいいっぱい中に出してほしいんです」
乙矢は後に手をつき下半身を突き出すと双丘の奥にある熟れた蕾を押し開いた。
紅い媚肉がうねり、まるで誘っているかのように蠢く。
瞠目する紗波の目の前で恥ずかしげもなく開いた後孔に、乙矢の細い指がゆっくりと沈められていく。
紗波はごくりと唾を飲んだ。
「紗波さんも僕をかわいがってくれますか?ここの団地の人たちみたいに」
妖艶な目が狂おしいほど紗波に突き刺さる。
甘い誘惑はまるで熟れすぎた果実のようにじゅくじゅくとして、紗波の恐怖心ごと飲み込んでとろけて堕ちた。
そこでようやく気づいた。
乙矢が団地に囚われていたのではない。
囚われていたのは団地の住人と紗波の方なのだと・・・
今日も古びた団地B棟に男たちが集まる。
向かう部屋はたった一つ。
目的も同じだ。
軋む扉が開くと、紅い襦袢姿の少年が彼らを待ち受ける。
足元には無数の鎖が雁字搦めに絡みついていた。
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