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第1話
私立、〇〇高校。通称馬鹿高校。
数多の異端児問題児が集うアマゾンの熱帯地の様なこの高校。
文武両道、明朗快活等という謳い文句を掲げどその実態は______
「 おいコイツ シバ校にボコられて帰ってきてんぞ」
「マジかよ、生きてただけお前すげえな」
「どうせ昨日の夜は母ちゃんに泣きながら甘えたんだろイチゴパンツ」
不良の怒号、耳障りなけたたましい笑い声。
今朝張り出されたばかりのはずのボロボロになったクラス分け表を見て向かった先、明らかに二年生と思われる猿共が屯っていた。
県立のアノ高校に通いたかった俺は、あろうことか底辺も底辺。滑り止めに受けていたこの高校へと無事に合格してしまったのだった。
「 じゃーま。」
「あ?」
瞬間、鈍い音が耳に届く。
派手派手しいワインレッドのシャツに透ける様な白肌を持った華奢な男。靴先で蹴り上げたのだろう。蹲る男を一瞥し、悠々とした笑みを絶やさずボロい教室へ入るその姿は異色と言えば異色だった。
「思ったより、弱いな。」
起き上がる気配の無い男は歯痒い表情を教室の奥へ向けたまま。
その視線を遮る様に立てばぽつりと吐き捨てて戸を閉めた。
通称、馬鹿高校。
ここいらの学校の中で学力が最底辺ならば品格も最底辺のまるで動物園。
三年の南元春率いる総五人がこの学園のトップに君臨している。
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