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第2話

「 で、あるからして____ 」 底辺学校にも教師というものは勤務しているらしい。薄さ極まれりな頭部を惜しげも無く蛍光灯で照らす担任らしきモノがHRと称して喋り続けている。 右隣りは机に足を預け居眠り。 前は、 窓側なのを良い事に背を持たれ頬杖をつき、ぼう、と虚空を見つめている。自然と眉間が寄る。 「 なに。太田くん。」 伏せられた長い睫毛がゆっくりと持ち上がり爛々とした眼光を携えた大きな瞳が此方を向く。形の良い唇の動きを無意識に追いかけていると、 「 ふ…、あはは。太田くん、意外。」 「 は?ワケ分かんね。亜澄だっけ、何でこんな学校来たんだよ。」 「 別に、来たかったから 来ただけ。」 相変わらず何処を見て物を言っているのか分からないふわふわとした様子で応える亜澄。彼は亜澄希というらしい。俺よりは幾分か背丈があるが、この歳にしては小柄な部類か。体躯が細っこい事もあって尚更、儚げな印象を受ける。 ふと、亜澄が此方に手を伸ばし俺の手を取り指を絡める。慣れた手つきに思わず全身が粟立つ様な感覚。 「 なっ、 」 「 太田、おーたコタロウくん、だっけ?____強いの? 」 「 …どうだか。 」 ば、と手を振りほどく。 すると、一瞬、亜澄の目元に驚きの色が走るものの又前の緩い笑みに変わる。 「 ふうん、いけず。 」 それだけ言うと、亜澄は教師の話を遮る様に立ち上がりハゲ頭の声も聞こえてない様な素振りで教室を立ち去った。

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