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探し人

「は〜い!こんにちわぁ~〜ッ!!」 チャイムが鳴るギリギリに教室に入ると、荒谷に話しかけられることもなくホームルームが始まった。 始まったのが、担任の様子がおかしい。 端的に言ってしまえば全てが。 言葉遣い含め、昨日までのイメージとかけ離れすぎている。 「先生、何か昨日と違くないですか?」 「え〜そこ聞いちゃうのぉ〜〜。しょうがない、君だけには教えてア・ゲ・ル!昨日は親御さんもいたし、本性隠してただけよ〜!!あ、親御さんには秘密にしといてよね!!」 担任の明らかなる豹変についていけず、クラスの内の一人が質問するが、その返答によりいっそうクラス中が呆然となる。とゆうか、まったく秘密になっていない。 「じゃあ、挨拶もしたことだしこの学園について説明していくわよぉ。よく聞いておきなさい!」 ※ 「んん〜〜〜!疲れたわぁ」 「桜崎先生、とある噂が広がってますけどまさか」   「その、まさかよ。りっちゃん?素で生徒の前に立って何がいけないのかしら?」 桜崎が職員室の席について 一息ついていると、驚きというより引いていると言った方が正しい黒河の引きつったような表情を見て、お察しの通りと淹れたてのコーヒーを飲みながら返事を返す。 「おまえ、りっちゃんって呼ぶなって何度も……」 「あら、いいじゃないの。あたしとりっちゃんの仲じゃないの?」 「おまっ!誤解されるような発言はやめろって言ってんだろうがっ!」 桜崎の言動に驚いて周りを気にしてか キョロキョロと辺りを見回す姿についフッと口元が緩む。 「何時も何時も人を嘗めた様な態度と名高い黒河先生とは思えないほどの慌てぶりね。んで、今年は有望らしいわねどうなの?」 「さあな」 黒河が眼鏡を押し上げ 前のデスクに座ると さも、わかりませんとでも言うように言葉を返す。 「じゃあ、別にいいわ。アレは新入生歓迎会でゆうの?」 「あぁ、そうだ。絶対無二のあの学則は会長から新入生に伝える、それが決まりだろ。毎年そうだろうが」 「ふーん。そう。そういえば、今年はいた?綺麗な白髪の子!」 「お前、毎年毎年。探してるけど、何かあるのか?」 「別にいいでしょ。何でも! で?どうなの、いた?」 「残念ながら、そんな奴はいないな」 「そう」 あからさまに肩を落とし落胆する 桜崎を見て、黒河はコイツが人に執着するなんてなと不思議に思う。 「何処にいるのかしら。年齢からして今年、入るはずなのに、そういえば私、名前も知らないのね」 独り言のように呟かれた その言葉はコーヒーと共に飲み込まれた。

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