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指輪の持ち主
???side
「もう居ないかな。」
溜め息を漏らし、外の音に耳をすませば
足音どころか何の音も聞こえなかった。
そろそろ大丈夫だろうと思って
ドアノブに手をかけて捻ろうとした時、ガチャリと音をたてて扉が開いた。
え________。
「い、デッ!」
扉に耳をそばだて体重をかけていたからか
そのまま廊下へと崩れ落ちる。
すると、パタパタと小動物のような足音が聞こえてきた。
「だ、大丈夫?!みーちゃん。怪我してない?顔に傷ついてない?死んだりしてないよね?」
ユサユサと俺の身体を揺すりながら
心配する優しいその声に笑みをもらす。
「白(きよ)、大丈夫だって。こんなんで死なないし。」
むくりと身体を起こして
顔を突き合わせれば、大きな瞳が最大限に開かれて抱きつかれた。
「みーちゃん。よかったぁ!!」
「お前は、昔から大袈裟なんだよ。」
「そうかな?」
「そうだって。ほら、行くぞ。」
廊下で座ったまま話すのも役職上良くないと立ち上がって
まだ、立ち上がらない白にも手を差し出す。
白は俺の手を取って、立ち上がると
開いたままの資料室の奥の方をじっと見つめていた。
そして、何かを拾い上げて戻ってくる。
「これ。みーちゃんの?」
こてりと首を傾げて聞く。
白の手にあったのは2つの指輪だった。
「いや、俺のじゃないけど。」
「そっかぁ。じゃあ、僕が貰っちゃおうかな?コレ、綺麗だし。」
「まぁ、いいんじゃないか。」
まぁ、問題ないだろ。
こんな場所に落ちていたならば、特別なものでもないだろうから。
「みーちゃん、もうそろそろ会場行かないと駄目じゃない?」
「そうだな。でも_____白。そういった場面では」
「分かってるよ。風紀委員長。
これでいいんでしょ。」
「あぁ。」
そういえば、さっきのあの子は。
今日の歓迎会に来るだろうか。
来てほしいような、来てほしくないような
不思議な気持ちだ。
「…………はる、か。」
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