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「代償」3

「いいじゃん。唯一の楽しみが心霊番組を見る事なんだから。ねぇーちゃんも、昔は一緒に見てたくせに」 「唯一の楽しみって……つくづくアンタの人生つまらないわね」  姉の呆れ果てている声を無視しつつ、流れ始めたリプレイ画面を僕はわざと薄眼にして、出来るだけ視野を狭くした。  勢いよく走ってくる白い人影。ぼんやりしているにもかかわらず、腕を大きく振って近づいて来るようにも見えてしまう。恐怖のあまり背筋が凍りつき、適温の部屋にいるはずが寒さに思わず身震いする。やはり怖い。これは今日一番に怖かった。  エンドロールが流れ、二時間の心霊番組を堪能した僕は自室のある二階に向かった。  部屋のドアを開けるとちゃんと部屋には明かりが点いていて、僕はホッとして中に入るとベッドに倒れ込む。  僕の中で心霊番組を見る際に、必ずと言っていいほどする決まりがあった。それは部屋の電気をつけておく事と、お風呂とトイレは済ませておく事だ。  部屋に戻ってきたときに真っ暗だと、何かがこの部屋に潜んでそうで怖い。お風呂とトイレは言わずもがなだ。

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