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「代償」2
僕は気を取り直して画面を注視すると、別の投稿者の映像が流れ出す。今度はトンネルのようだ。懐中電灯の明かりを頼りに、若者数人が暗い一本道を歩いていた。
左右に揺れる小さな光が、暗闇に呑み込まれているようで何とも心許ない。
壁に描かれているスプレーの落書きに、こんな場所に不謹慎だな——と僕は憤りを覚えつつ、固唾を飲んで膝の上で両手を組む。
『出口が見えるぞ!』と騒ぐ若者。『何にもなかったじゃん』と落胆する声。次に起こる事を予測して、僕は微かに息を詰める。若者達が背後からの異様な物音に気づき、カメラごと後ろに振り返ると、凄い勢いでこちらに向かって走ってくる白い人影が——
「うわぁああああっ」
テレビの悲鳴と自分の悲鳴が重なり合い、ソファに体を横たえ僕は恐怖に悶えた。怖い。怖すぎる。
「ぎゃあぎゃあとうるさい!!毎年これだから呆れるったらありゃしないわ。ガキじゃないんだから、怖いなら見なきゃいいのに馬鹿じゃないの」
今度は二歳年上の大学生である姉の理彩が、ソファの後ろで悪態を吐く。
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