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「正真」2

「俺はどうもアイツが苦手だ」  泰明がポツリと零し、僕は居たたまれなくなってしまう。滅多に人の事を言わない泰明が、そう言うのだからよっぽどの事だ。  あれだけ一触即発状態だったのだから無理はないが、僕はどうしても神近くんの約束を反故する気にはなれない。 「泰明の気持ちは分かるよ。でもさ、約束を破るのは僕には出来ない。それに……本当に性格が悪い人が、パズルなんてやらない気がする」  パズルは集中力と根気強さを要する。落ち着きのない人間には出来ないし、ましてや短気な人間にはもっての外だろう。  初めて神近くんにあった時、パズルのピースを片手に持って頬杖をついていた。部屋が欲しい言い訳にそういう同好会を作ったのではなく、壁に飾られたパズルからしてもちゃんと活動しているようだった。  僕の考えとは裏腹に、泰明は顔を顰め黙り込んでしまう。蝉の耳障りな音が遠くの方から聞こえてきて、僕達の沈黙をより強調しているように思えてならない。  なんとも気まずい雰囲気の中、予鈴が鳴り響く音に僕達は無言のまま重たい腰を上げた。

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