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「正真」23

 家に帰った僕は夕飯と入浴を終えて落ち着かない気持ちを持て余していると、泰明から電話がかかってきた。  すぐさま電話に出た僕は事の顛末を告げると、泰明は連絡先を教えてくれた。 「単なる風邪だと思うぞ」  不安げな僕の様子を察したのか、泰明が慰めてくれる。  確かにそうかもしれないが、全くの無関係ではない僕は落ち着かなかったのだ。  電話を切った後、すぐさまメッセージアプリを使って神近くんに 『佐渡だけど、大丈夫?』と送る。  体調が悪いからなのか、その日は神近くんからの返事はなかった。  一学期の最終日は、明日から夏休みという事もあったせいか教室中が沸き立っている。朝から浮かれた同級生達が、夏休みの計画を互いに話し合ったりと騒がしい。  かくいう僕も、夏休みという事で内心は浮かれていた。夏休みはオカルトイベントも多くあり、かの有名な怪談師のトークイベントもある。  今までは行く事が出来なかったのに、去年は泰明が一緒に来てくれた事もあって初めて参加した。  薄暗い会場内には人も多く、意外にも賑やかだった。これなら思ったよりも怖くないかもしれないと、僕は少しだけ拍子抜けした覚えがある。  怪談師が登場して笑顔で挨拶をし、怪談話が始まると空気がピンと張り詰めていく。静まり返る会場内。怪談師の強弱のある語り口調。本物の怪談師はやはり迫力が違う。

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