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「正真」24

 さすがに悲鳴をあげるのは恥ずかしく、僕は微かに震える手で泰明の手をずっと掴んでいた。内心は嫌だっただろうけど、泰明は優しいから振り払わずに僕の酔狂に最後まで付き合ってくれたのだ。  もちろん終了後に謝り倒した。泰明は大丈夫だと言ってくれたけど、本音は嫌だったのか少し素っ気ない雰囲気で視線をそらしていた。  今年はどうするかな、とぼんやりとしていると「佐渡」と泰明に声をかけられる。 「わぁっ! なに?」  突然声をかけられた僕は驚いて、肩が跳ね上がる。 「悪い……昨日は、神近から連絡はあったのか?」 「それがなかったんだよ」 「俺も一応は連絡したんだけど、返事が来てない」  思案げな泰明に、僕は思わず頬が緩む。どんなに好かない奴だと言っていても、ちゃんと気にかける。そういう所が泰明の良いところだと、僕はいつも思っていたのだ。  今日は授業もなく、終業式のみという事で午前中には学校が終わってしまった。  泰明は家の用事があると言って先に帰ってしまい、僕は一人で部室へと向かったが、やっぱり鍵が開いていなかった。  これでは夏休み中に部活が、あるのかないのかも分からない。仕方なく僕は職員室に行き、パズル同好会の顧問を探す事にしたのだった。

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