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「正真」28

「しかし……連絡が取れないのは心配だな。一人暮らしをしているようだし……君は家に行った事は?」 「ないです」 「……そうか。私からも連絡しておこう」  少し取っ付きにくそうな雰囲気ではあったけど、教師らしく生徒を気遣う様子には好感が持てる。  僕はお礼を言って職員室を出ると、スマホを取り出す。  やっぱり神近くんからは連絡が来ていない。今度はメールではなく、電話をしてみようと思いつき呼び出しをかける。  何コール目かで『……もしもし』と怪訝そうな声で電話が繋がった。 「あっ、神近くん? 僕だけど、大丈夫?」 『……あぁ、先輩ですか。何か用ですか?』  不機嫌そうな声音に僕は、少しだけ落ち込んでしまう。 「昨日も今日も部室が開いてなかったから……僕のせいでぶり返しちゃったかなと思って……」 『先輩のせいではないとは言えませんが、問題はないです』  やっぱり僕にせいじゃないか……それなら問題ないはずがない。 「ごめん……僕のせいで……」  神近くんは特待生なのに、学校を二日も欠席させてしまったのだ。罪悪感に心臓がギュッとされたように痛い。

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