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「訪問」5

「あのさ……変な事聞くけど……」  汗も引いているし、たいして喉も乾いていなかったが、僕は一旦落ち着こうとしてコップのお茶を一口飲む。泰明に指摘された事を、本人に聞くのはさすがに緊張してしまう。 「泰明がね……あの時キスしたのは、僕の事好きだからじゃないかって言ってるんだけど……泰明に意趣返ししただけだよね?」  僕は伺うような視線を神近くんに向ける。神近くんは一瞬虚を付かれたような表情をした後、悪戯っぽい表情に変わった。 「好きだって言ったら、どうします?」 「えっ?」  僕は驚いて目を見開く。 「除霊の代償に、先輩とキスしたくてしたんです」  神近くんが微かに口元を緩め、僕をジッと見つめてくる。僕は唖然としてしまって、言葉が出てこない。  痛いぐらいの沈黙が流れ、窓の外からは蝉の鳴き声が聞こえてくる。 「嘘ですよ」  沈黙を破るように神近くんは笑い出す。お腹を抱えて 「からかい甲斐がありますね」と笑う姿を、僕はムッとした目で睨む。 「笑い事じゃないよ……本当にビックリしたんだから」 「すみません。鐘島先輩に少し腹が立って、そうしただけです」  先輩の事になると眼の色変わるんで、と神近くんは目を細める。

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