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「嫉妬」19
玄関の前で神近くんが僕に塩をかけると、やっと中に入ることを許されホッとして玄関の敷居を跨いだ。
部屋に入るなり神近くんが「夕飯の支度をしますので、先輩は先にシャワー使ってください」と言って僕に替えの服を渡してくる。
確かに汗をかいていて気持ちが悪かったが、何でもかんでも神近くんに甘えっぱなしはどうなのかと思えてならない。
「えっ、手伝うよ」
僕が慌てて神近くんに言うも「大丈夫です。早く入ってきてください」と言ってあしらわれてしまう。
仕方なく僕は先にシャワーを浴びる事になった。シャワーを浴びて部屋に戻ると、神近くんはベッドに腰かけてテレビに視線を向けていた。
「ごめんね。いろいろやらせちゃって」
濡れた頭を拭きつつ、神近くんに声をかけると視線が僕に向けられる。
「夕飯を食べたら、今後について話あります」
心なしか浮かない表情の神近くんに、僕は不思議に思いつつ隣に腰かける。
「わかった。でも、僕も話したい事があるんだ」
「話ってなんですか?」
「神近くんの話を聞いたら話すよ」
僕がそういうと神近くんは素直に頷き、「俺もシャワー浴びてきます」と言って立ち上がて浴室へと足を向けた。
神近くんがシャワーを浴びている隙に、僕は泰明に電話をかける。今日の一連の事を謝るつもりでいたのだ。さすがに付き合っている云々 は、神近くんに話をしてからにするつもりだ。
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