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「嫉妬」29
「何ジロジロ見てるんですか? 俺の方が立派で羨ましい、とでも考えてるんですか?」
神近くんがニヤニヤしながら、服を着つけていく。
「ち、違うよ!そんなに変わらないじゃん」
僕は慌てて否定するも、本当は神近くんの方が僕のより立派で、あんなのが入ってたのかと驚いていた事には間違いない。
今も少しお尻に違和感があるし、腰も心なしか痛い気もした。
「じゃあ、何ですか?」
「神近くんが手慣れてるから……経験豊富なのかなって……」
僕はどうしても拗ねたような口調になってしまう。神近くんは無愛想だけど、容姿端麗だし恋人の一人や二人いたっておかしくないことだ。分かっていても、心のモヤモヤが晴れてはくれない。
「妬いてくれるんですか?」
神近くんが這うように僕に近づくと、少しだけ優しいトーンで「そういうのは、あえて聞かない物ですよ」と言って僕の頬を触れた。
「俺だってそんなに経験ないですから。いろいろ調べたりしただけです」
「調べたの?」
「だから、あんまり聞かないでください」
言うなり顎を掴まれキスされると、「夕飯作ってきます」と言って神近くんはベッドから降りていく。
僕は少し拍子抜けしてしまう。まさか神近くんはこうなることを予想して、いろいろと考えていてくれたと言う事なのだろうか……
僕はむず痒い気持ちになって、これ以上は突っ込まないようにしようと心に決めたのだった。
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