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「計画」12
僕はトーストを齧りながら、考え込んでしまう。別に神近くんとずっと一緒にいるのが嫌というわけではない。でもさすがに何日も泊まるのは気が引けてしまう。食事だって神近くんが作っているし、掃除や洗濯も手伝いはするものの大半は神近くんがやっていた。
神社の息子だからなのか、神近くんは綺麗好きで家事全般が得意だ。だからこそ僕は、役に立たない居候みたいで肩身が狭い。
だからといって、また憑りつかれるのも嫌だった。いつも板挟みになるなぁとそういう星の元に生まれた事を恨めしく思いつつ、僕はトーストを平らげた。
長期で神近くんと過ごすことになる可能性があった為、僕はひとまず家に帰ることにした。さすがに何日も帰らないと親も不審に思うだろうし、それに加えて神近くんの実家に行くことも話しておかないといけない。
実家の方に行くのであれば、泰明にも会って事情を話しておいた方が良いはずだ。
神近くんに僕からそのように提案をすると「俺も一緒に行きます」と言ってきた。確かに神近くんがいれば心強いけれど、泰明と会わせるのはどうなのだろうかと不安が過ってしまう。
「ついてきてくれるのは嬉しいけれど、泰明の前では大人しくしててね」
泰明に今日の午後に会う約束を取り付けた僕は、不安のあまり神近くんに釘を刺す。
「子供扱いしないでください。小学生じゃないんですから」
「だって、すぐつっかかりそうで怖いんだけど」
「向こうが挑発してくるのが悪いんです」
拗ねたように視線を逸らした神近くんに、そういう所が子供みたいだと僕は苦笑いした。
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