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「計画」13
強い日差しを満遍なく浴びつつ、僕は一人で自宅に向かっていた。さすがに神近くんを交えてとなると、いろいろと面倒な事になりそうだったので、駅の周辺で時間を潰してもらっている。
自宅に一人で戻った僕に母は「あら、不良息子がお帰りね」と言って嫌味交じりの視線を向けてきた。
「母さん。話があるんだ」
僕はそう言って、ダイニングでテレビに視線を向けていた母の前に腰を下ろす。
「なぁに? そんな暗い顔して」
さすがの母も僕のただならぬ様子に気づいたのか、眉間に皺を寄せてジッとこちらを見つめる。
少し緊張した面持ちで僕は、神近くんの実家にお祓いに行く旨を伝えた。僕は基本、嘘が下手だし母も何十年と僕と一緒にいるのだから、僕の嘘を見抜くのなんて朝飯前だろう。だからこそ、本当の事を話した。
もちろん、神近くんと付き合っている事はまだ言えないけれど……
「向こうのお家に迷惑なんじゃないの?」
案の定、母が渋るそぶりを見せてきた。非現実的な事に加え、お祓いの為にわざわざ電車を乗り継いでまで、よその家にお邪魔になる事に簡単に承諾できるはずがない。
「でもそうしないと、僕が取り殺されるかもしれないんだよ」
「そもそも幽霊なんていないわよ。あんた、揶揄われているだけなんじゃないの」
母が呆れたようにため息を吐き出す。やっぱり信じてもらえなかったのだと、僕は肩を竦める。
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