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「帰省」17

「神近くんだって、充分優しいくて良い子ですよ」  フォローするように僕がそう言うも、お母さんは少し困ったように微笑んだ。 「小さい頃はもっと明るくて、素直で良い子だったの。将来は神社を継ぎたいって、早朝に境内の掃除も手伝ってくれたりしたのよ。でも小学校に上がってしばらくしてからしら、急に大人しくなっちゃって」  お母さんは小さく溜息を吐き出していく。僕はと言えば、神近くんと家族との溝が気になっていたこともあって、固唾を飲んでお母さんの話に耳を傾けていた。 「理由を聞いても答えないし、学校の時以外は部屋に引きこもるようになっちゃって……こっそりイジメにあってないか、ランドセルを覗いたこともあるのよ」  内緒ねと言って、お母さんは小さく笑った。 「でもね、何にも見つからなかったの。少しホッとはしたんだけど……それにね、兄弟仲もあまり良くなくて……お兄ちゃんが六歳も上だからかしら。小さい頃は仲良くしていたんだけど、思春期のせいか大きくなるにつれて智代の方が避けるようになって」  六歳も年上だなんて初耳だ。だから神近くんの両親が、僕の親よりも上に見えるのかと納得がいった。 「友達ともだんだん遊ばなくなってきて、部屋で一人遊びする事が多かったのよ。だから貴方みたいな良いお友達が向こうで出来たみたいで、心の底からホッとしてるの」  お母さんはそう言って、「どうかあの子を宜しくね」と優しく笑った。僕は「もちろんです」と笑顔を作るも、どうして神近くんが急に変わってしまったのか、疑問が頭の中をグルグル駆け巡っていた。

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