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「虚像」19
僕と神近くんは焼きそばやフランクフルトを食べたり、林檎飴や綿菓子を買ったりと、久しぶりのお祭りに僕はかなりはしゃいでいた。
「買い過ぎじゃないですか?」
そんな僕の様子を見て、神近くんが呆れたように溜息を吐き出した。
お祭りも終わりに近くなると、人もだいぶまばらになってきてきた。そろそろ帰ろうかと話していたところで「智代くん?」と背後から声をかけられ、僕と神近くんは振り返る。
そこには、僕たちと歳が変わらなそうな女の子が立っていた。ピンクの浴衣には赤の椿があしらわれ、髪を綺麗に結い上げている。女の子らしく薄化粧していて、整ったパーツがより際立って見えた。
「久しぶりだね。こっちに帰ってきてたんだ」
「そうだけど……」
神近くんは浮かない表情で言った。女の子の方も、少し気まずそうにぎこちない笑みを浮かべている。
「東京の友達?」
女の子の視線が僕に向けられる。
「そうだけど」
「そうなんだ……ちょっと話したい事あったんだけど……これからっていうのは、無理そうだね……明日、ちょっと時間作れないかなぁ?」
女の子が伺うような視線を神近くんに向ける。
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