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「虚像」35

 神近くんの指が僕の髪に触れ、興奮しているのか少しずつ呼吸が荒くなっていく。僕はそれが嬉しくて、少し苦しかったけれど喉の奥近くまで咥え込む。 「ッ……先輩、もういいです……」  神近くんが僕の肩をそっと押してくる。僕が抗議の目で見上げると、神近くんは呼吸を乱しながらも困ったように眉を顰めていた。 「……イけなさそう?」  もしかしたら下手過ぎて、ずっと断続的な刺激に参っているのかもしれない。 「そうじゃないんです。これ以上されたら、やりたくなるんで」 「……良いよ」  僕は頷くなり、服を脱いでいく。積極的な僕に対して、神近くんが驚いたような目で見つめてきた。そんな様子に、僕は思わず苦笑いしてしまう。 「そんな驚いた目で見ないでよ。好きな人としたいと思うのはおかしくないでしょ」  僕は座っている神近くんの上に跨り、向かい合った。間近に迫った神近くんは、窓から差し込んだ光でぼんやりと白く染まっている。 「先輩って、結構エロいんですね」 「神近くんにだけだよ」  自然と唇が重なり合い、柔らかい舌先が触れ合う。口腔をかき回すような激しさに、僕は何度も喉を鳴らす。

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