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「虚像」38
「んっ、ッ……ぁ……」
神近くんのお腹に、僕の下腹部が擦れているのが堪らなく気持ちがいい。自らも腰を揺らし、ねだるように擦り付けていく。
「あっ……神近くんっ」
上ずった声で名前を呼ぶ。体の繋がりが全てじゃないけど、好きで堪らないと感じてしまう。
「先輩……」
神近くんが苦しげに閉じていた目を開き、熱を帯びた目で僕を見つめてくる。
「すごくいい……気持ちいいっ」
僕は興奮したように見つめ返すと、神近くんが「俺もです」と囁くように言った。
「好きだよ、神近くん。他の人が神近くんをどう思ってたって、僕は君が好きだよ」
僕は訴えかけるように神近くんに言う。神近くんが呆れたように口元を緩めると、「先輩。煽りすぎです」と言って布団に押し倒してきた。
見上げた視線の先には、神近くんが苦しげな表情で僕を見下ろしている。
「……俺、意外と独占欲強いんです。先輩のこと、手放せなくなるかもしれない」
「ちょっとわかる気がする」
僕は頬が緩んでしまう。泰明に対してあんなにも、敵対心をむき出しにしているのを目の当たりにした時から思っていたことだった。
「鐘島先輩には、特に渡したくはありませんけどね」
早速の独占欲丸出し発言に、僕は嬉しくもあり恥ずかしくもあった。
「泰明はただの親友だから」
「先輩は隙だらけの馬鹿だから、心配なんです」
「馬鹿じゃないよ……あぁっーー」
急に強く穿たれて、頭が真っ白になってしまう。腰を掴まれ打ち付けられる度に、嬌声を上げそうになるのを唇を噛み締めて必死で耐えた。
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